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柔道の固め技一覧|抑込・絞・関節技32本

更新: 岸本 武彦
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柔道の固め技一覧|抑込・絞・関節技32本

柔道の固め技は、講道館で抑込技10本・絞技12本・関節技10本の計32本に整理され、立技67本と合わせると技は計99本になる。講道館の分類を手がかりにすると、寝技が「たくさんある」だけで終わらず、どれが何を狙う技なのかまで見通しやすくなります。

柔道の固め技は、講道館で抑込技10本・絞技12本・関節技10本の計32本に整理され、立技67本と合わせると技は計99本になる。
講道館の分類を手がかりにすると、寝技が「たくさんある」だけで終わらず、どれが何を狙う技なのかまで見通しやすくなります。
勝ち方も三系統でまったく違い、抑込技は相手を仰向けに制して20秒で一本、絞技は頸動脈を絞って相手を落とし、関節技は肘を極めて参ったを取る。
全国の道場を取材しながら稽古を見てきた実感でも、初心者はまず抑え方と逃げ方をセットで覚えると上達が早く、畳の上で相手の重みを胸に受けた瞬間に固め技の本質がはっきり見えてきます。
抑え込みは2017年1月の改正で、20秒で一本・10秒で技ありという現在の秒数になりました。
試合を観る側も、この数字の意味を知っているだけで展開の見え方が変わるので、この記事ではルールの成立条件まで丁寧に押さえていきます。
絞技と関節技には年齢による制限があり、中学生以下は原則として使えず、三角絞は反則負け、関節技は高校生以上からです。
安全ラインを先に示したうえで技を学ぶことが、柔道を長く続けるための出発点になるでしょう。

柔道の固め技とは|抑込・絞・関節の3系統32本

柔道の固め技は、寝た体勢で相手を制圧する技の総称で、講道館の正式分類では抑込技10本・絞技12本・関節技10本の計32本です。
現場では寝技とほぼ同義で語られますが、厳密には立った状態から極める固め技も含むため、まず言葉の範囲をそろえておくと理解しやすくなります。
取材で初めて寝技の乱取りに加わったとき、立技の感覚のまま挑んで上四方固で全く動けなくなり、重心を胸に乗せられると腕力では返せないと身体で学びました。
だからこそ、固め技は力で押し切る技ではなく、位置を取って勝つ技術だといえます。

固め技と寝技・グラウンドの言葉の違い

固め技と寝技は日常的にはほぼ同じ意味で使われますが、柔道の中では少し見え方が違います。
寝た体勢で展開する攻防を広く寝技と呼び、その中で相手を制圧し、抑え、絞め、極める技を固め技として整理すると、32本という数の意味がはっきりします。
ある道場の指導者が初心者に「技は32本あるが、勝ち方は抑える・絞める・極めるの3つだけ」と教えていたのを何度も見ましたが、この整理だけで混乱はかなり減るものです。

抑込・絞・関節の3系統と本数

固め技の3系統は、勝ち方が最初から違います。
抑込技10本は相手を仰向けに抑えて時間を取り、20秒で一本を狙う技で、袈裟固、崩袈裟固、後袈裟固、肩固、上四方固、崩上四方固、横四方固、縦四方固、浮固、裏固が含まれます。
絞技12本は頸動脈や気道を絞めて「参った」か失神を引き出す技で、並十字絞、逆十字絞、片十字絞、裸絞、送襟絞、片羽絞、片手絞、両手絞、袖車絞、突込絞、三角絞、胴絞が並びます。
関節技10本は肘関節を極めて「参った」を取る技で、腕緘、腕挫十字固、腕挫腕固、腕挫膝固、腕挫腋固、腕挫腹固、足緘、腕挫脚固、腕挫手固、腕挫三角固があります。

この3分類は、単なる名前の並べ方ではありません。
抑込技では自分の重心を相手の胸の中心に乗せることが要で、腕力よりも圧のかけ方と角度が効きます。
絞技では血流や呼吸を断つ方向に短時間で持ち込むため、腕で絞る技は約8.9秒、相手の腕も巻き込む技は約9秒で落ちるとされ、裸絞のような速攻型と三角絞のような遅効型で性格が分かれます。
関節技はさらに明快で、試合で許されるのは肘関節のみです。
手首・肩・足を極める発想は認められず、足緘は反則負けとなるため、狙う場所がそのまま戦術の輪郭になるのです。

系統本数目的代表的な働き
抑込技10本仰向けに抑えて時間を取る20秒で一本を狙う
絞技12本頸動脈・気道を絞める参ったや失神を引き出す
関節技10本肘関節を極める参ったを取る

立技67本との位置づけ

柔道全体の技は、立技(投技)67本と固め技32本を合わせて計99本です。
投げて一本を狙う立技に対して、固め技は投げきれなかった局面や引き込みから試合を決める second chance として機能します。
だからこそ、立ち技が強い人ほど固め技の価値を軽く見がちですが、試合では一度寝たあとに形勢をひっくり返す場面が少なくありません。
柔道が立ちと寝た後の両方を含む競技であることを、ここで押さえておくと全体像が見えます。

本記事では次章以降、32本を系統ごとに正式名称で一覧化し、代表技は「どう抑える/絞める/極めるか」と「なぜ効くか」をセットで説明していきます。
名前を覚えるだけではなく、どこで相手の自由を奪っているのかを理解すると、技の見え方が一段変わります。
固め技は力で押す技ではない。
位置と構造で勝つ技として、順に見ていきましょう。

抑込技10本一覧|袈裟固・四方固系のやり方

抑込技10本は、袈裟固・崩袈裟固・後袈裟固・肩固・上四方固・崩上四方固・横四方固・縦四方固・浮固・裏固の10本です。
名称だけを見ると散らばって見えますが、袈裟固系、四方固系、そして肩固・浮固・裏固の3つに分けて覚えると整理しやすくなります。
型の違いは細部に見えて、実際には相手をどの方向から、どの重さで封じるかの違いです。
抑え込みで効くのは腕力ではなく、自分の体重の置き方にあります。

袈裟固系

袈裟固は、相手の首の後ろに腕を回して抱え、胸側にある相手の腕を自分の脇に挟んでロックし、上体の自由を奪う基本の抑込技です。
袈裟が斜めに掛かる布であることを思うと、こちらの体を相手に斜めに被せる形がそのまま名前になっていると分かります。
崩袈裟固や後袈裟固も、この基本形を崩し方や入り方で変化させたものです。
初心者はまず袈裟固を基準にすると、他の抑え込みの位置関係が見えやすくなります。

実際の稽古でも、袈裟固は「腕を回す」「脇で挟む」「胸をかぶせる」の3点がそろうと一気に安定します。
ここで腕に頼ると、相手に起き上がる余地を与えてしまいます。
重心を胸の中心へ落とす意識があれば、上体は沈み、相手は首と肩の連動を切られて動けなくなるのです。
袈裟固は基本技であると同時に、抑込技の力学を学ぶ入口でもあります。

四方固系

横四方固は、相手が仰向けの状態で肩越しに帯を掴み、もう一方の手を股の間に伸ばして下穿きを掴み、横向きに上半身を抑える技です。
上四方固は、相手の頭側から両腕で帯や下穿きを抱え、胸に顎を乗せて押さえます。
抑える方向が横か頭側かで名称が変わるため、四方固系は「どこから入るか」を意識すると覚えやすいでしょう。
崩上四方固、縦四方固も同じ発想の延長にあります。

横四方固を取材で掛けてもらったとき、腕ではなく体重で胸を制圧されると呼吸はできるのに上半身がまったく起こせず、20秒が異様に長く感じました。
秒数ルールの厳しさを体感した瞬間だったのです。
初心者の稽古を見ていても、抑え込みで腕に力を入れすぎて重心が浮き、エビで簡単に返される場面が多く見られます。
指導者が「腕を抜いて胸で乗れ」と直すと、一気に抑えが効くようになるのはそのためです。
抑込技では、手先よりも胸、そして胸よりも体全体の落とし方が勝負になります。

肩固・浮固・裏固の特徴

肩固・浮固・裏固は、袈裟固系や四方固系ほど形の連想がしやすくないぶん、力の流れで理解すると覚えやすくなります。
肩固は肩の制圧を軸にした抑え方で、浮固は相手の逃げようとする動きを浮かせたまま吸収する発想があり、裏固は裏側から崩し込む方向性を持ちます。
どれも共通して、相手の胸の中心に自分の重心を置けるかどうかが効き目を分けます。
形の名前を丸暗記するより、どう乗れば崩れないかを身体で結びつけると実戦で使いやすいです。

抑込技に共通するコツは、自分の重心を相手の胸の中心に乗せることです。
腕で押さえつけるほど自分の重さは逃げ、相手に返す隙を与えます。
逆に胸で乗れていれば、相手は呼吸を確保できても上半身を起こせず、時間だけが削られていく。
抑込技10本を覚えるときは、名称を10個並べるより、袈裟固系、四方固系、肩固・浮固・裏固という3つの見取り図で整理してみてください。
おすすめです。
稽古ではまず袈裟固と横四方固、上四方固をつないで練習し、胸で乗る感覚を確かめてみてください。

絞技12本一覧|裸絞・送襟絞・三角絞のやり方

正式名称 主な絞め方 分類の目安
並十字絞 襟を十字に組んで圧をかける 襟を使う絞
逆十字絞 組み方を反転させて首筋を絞める 襟を使う絞
片十字絞 片側の襟を軸に絞る 襟を使う絞
裸絞 自分の腕と襟で頸動脈を圧迫する 腕で絞る技
送襟絞 襟を送り込んで首を締める 襟を使う絞
片羽絞 片腕側を制して襟の圧を通す 襟を使う絞
片手絞 片手で襟を取り首筋を圧迫する 襟を使う絞
両手絞 両手で襟を引き込み強く絞る 襟を使う絞
袖車絞 袖と襟の連動で輪を作って絞る 襟を使う絞
突込絞 襟先を突き込み首を狭める 襟を使う絞
三角絞 両足で首を挟み、腕も巻き込む 足で絞る技
胴絞 胴体を絞めるための技 足で絞る技・禁止技

絞技12本は、襟を使うもの、自分の腕で圧を作るもの、足で首を挟むものに分けると見通しがよくなります。
並十字絞、逆十字絞、片十字絞、裸絞、送襟絞、片羽絞、片手絞、両手絞、袖車絞、突込絞、三角絞、胴絞の12本で、胴絞は胴体を絞めるため禁止技です。
まず全体像を押さえると、個々のやり方を覚えるときも「何で圧を作っているか」がぶれません。

襟を使う絞

襟を使う絞は、柔道衣の襟を首まわりの支点にして頸動脈を圧迫する技群です。
並十字絞や逆十字絞のように十字に組んで力を通す型もあれば、送襟絞のように襟を深く送って圧を逃がさない型もあります。
片十字絞、片羽絞、片手絞、両手絞、袖車絞、突込絞はいずれも、手の使い方と襟の取り方で強さが変わるのが特徴で、相手の体勢が崩れた瞬間に一気に効かせやすいのが利点です。

実際に送襟絞を受けると、首そのものが締まる感覚より先に視界が暗くなることがあります。
あれが「落ちる」前兆だと分かった瞬間、判断を遅らせてはいけないと身をもって感じました。
襟技は見た目以上に静かに進み、気づいた時には脳への血流が細っていることがあるため、手順を知るだけでなく、危ない兆候を身体感覚として覚えておく意味が大きいでしょう。

腕や足で絞る絞

裸絞は相手の背後を取り、二の腕を顎の下に通して襟をつかみ、もう一方の手で脇の下から巻き上げて絞める技です。
襟を「道具」にしながらも、自分の腕そのものが圧力の芯になるので、極まれば数秒で効く速攻型になります。
背後を取る局面で頻出するのは、相手の首と姿勢を同時に奪いやすいからです。
送襟絞とは似ていても、力の通し方がまったく違います。

三角絞は下になった側が両足で相手の首を挟み、太ももで頸動脈を絞めつつ相手の片腕も巻き込む技です。
道場で見ていると、足だけで絞ろうとして極まらない初心者が多いのですが、指導者が「相手の腕を一本巻き込め」と直すと急に効くようになります。
角度と巻き込みがそろって初めて圧が逃げなくなるからです。
腕で絞る技は約8.9秒、相手の腕も巻き込む技は約9秒で落ちるとされ、裸絞のような速攻ではなく、じわじわ時間をかけて効かせる遅効型として理解すると整理しやすいでしょう。

胴絞は胴体を絞めるための技で、ここが重要ですが禁止技です。
足で絞る技に含めて覚えると分類はしやすいものの、実戦的な手順としてではなく、規則上の扱いをセットで押さえておく必要があります。
三角絞と並べて見ると、どちらも足を使う点は同じでも、狙いが首か胴体かで扱いが分かれます。

『落ちる』とは何か

絞技が相手を「落とす」のは、頸動脈を圧迫して脳への血流を一時的に止めるからです。
気道を塞いで苦しませる窒息とは主たる原理が異なり、血流の遮断が中心になります。
だからこそ、解除すれば血流が再開し、通常はすぐ覚醒します。
ここを理解しておくと、絞技を単なる力比べではなく、どこをどう圧迫しているのかという構造として捉えられます。

安全面でも、この理解は欠かせません。
首を締めているつもりがなくても、視界が暗くなる、耳が遠くなる、力が抜けるといった変化は「落ちる」直前のサインになりえます。
技の名前を覚えるだけでなく、身体が出す警告を見逃さないこと。
柔道の絞技は、その感覚まで含めて扱ってこそ意味があるのです。

関節技10本一覧|腕緘・腕挫十字固のやり方

関節技10本は、腕緘・腕挫十字固・腕挫腕固・腕挫膝固・腕挫腋固・腕挫腹固・足緘・腕挫脚固・腕挫手固・腕挫三角固で成り立ちます。
名前に「腕挫(うでひしぎ)」が付く技は、基本的に肘を伸ばして極める系統だと押さえるとでしょう。
十字は脚、腕固は肩、膝固は膝というように、何を支点にして相手の腕へ力を集中させるかで名称が分かれます。

腕緘と十字固

腕緘は、相手の手首を握って腕を鍵状に曲げ、肩と肘へ同時に圧をかける主力技です。
抑え込みの体勢から移行しやすく、相手が腕を畳に着けた瞬間に形を作りやすいので、試合でも稽古でも出番が多い技だといえます。
腕挫十字固も同じく主力で、相手の腕を両脚で挟み、自分の腰を支点に肘を反らせて伸ばします。
投げ際や抑え込みから自然につながり、極まれば相手は「参った」を選ぶしかありません。

実際に腕挫十字固を軽く掛けてもらったとき、肘が伸びきる直前に「これ以上は危ない」という感覚がはっきりありました。
あの感覚を身体で覚えると、タップの引き際が机上の知識ではなく実感になります。
ある高校の稽古でも、関節技は段階を踏んで「極める手前で止める」練習を徹底していました。
極め技は、信頼関係と止める技術がそろって初めて成立するのです。

腕固・腋固・膝固など極め方のバリエーション

腕挫腕固、腕挫膝固、腕挫腋固、腕挫腹固、足緘、腕挫脚固、腕挫手固、腕挫三角固は、同じ「肘を折る」発想を保ちながら、支点や圧のかけ方を変えた変化形です。
腕固は肩まわり、腋固はわきの下、膝固は膝、腹固は胴体、脚固は脚を使って力を伝えるため、相手の姿勢が崩れる方向に合わせて選択が変わります。
足緘は名のとおり足部を使う技ですが、柔道の試合では禁止技で、使えば反則負けになります。

この分類を知っておくと、技名が単なる暗記ではなく、身体のどこを支点にしているかを示す地図として読めます。
腕挫三角固は三角絞めの形から腕を巻き込み、腕挫手固は手を制して肘へ圧をつなぐ発想です。
どの技も、肘関節へ力を集める道筋が違うだけで、目的は同じく関節を極めることにあります。
柔道ではその線引きがはっきりしているからこそ、技の名前を見ただけで危険部位と方向性が見えてくるのです。

なぜ肘関節だけ許されるのか

柔道の試合で許される関節は肘関節のみで、手首・肩・膝・足首を極める行為は認められていません。
足緘が禁止技として扱われるのも同じ理由で、関節を無理にねじれば骨折や靱帯損傷の危険が一気に高まるからです。
肘は可動域と極め方の境界が比較的明確ですが、肩や膝、足首は損傷が広がりやすく、競技として安全を保ちにくい。
だからこそ、柔道は肘に限定しているわけです。

この制限は、技を弱くするためではありません。
相手を倒す力と、稽古を継続できる安全性を両立させるための線引きです。
関節技は、勝敗を決める武器であると同時に、止める側の責任が問われる技でもあります。
だからこそ、極める練習と同じだけ、極める前で止める練習が重視されます。
そこを外さなければ、腕緘も腕挫十字固も、試合で生きる技として磨けるでしょう。

抑え込みのルール|20秒一本・10秒技ありと成立条件

抑え込みは、20秒続けば一本、10秒以上20秒未満なら技ありになります。
審判が抑え込みを認めた瞬間から計時が始まり、固め技の攻防はその秒数をどう確保するかで勝敗が動きます。
2017年1月の国際ルール改正では、従来15秒だった技ありが10秒に短縮され、旧10秒で付いていた有効は廃止されました。
寝技の得点が取りやすくなったぶん、抑え込みの質が結果へ直結しやすくなったのです。

20秒一本・10秒技ありの秒数

抑え込みの時間は、観戦している側にも選手にも最も分かりやすい判定基準です。
20秒を取り切れば一本で試合が終わり、10秒以上20秒未満なら技ありが入るため、抑え込みに入った瞬間から20秒先の展開を見通して動く必要があります。
実戦ではこの間、相手を寝かせ続けるだけでなく、上からの圧力を切らさないことが求められ、少しでも重心が浮けば流れはすぐ変わります。

取材した試合では、技ありを2回重ねて合わせ技一本にした選手が、どちらも相手の脚を確実に外してから抑え込みに入っていました。
単なる「押さえる」ではなく、脚を切ってから胸で乗るまでを一連の動きにしていたからこそ、10秒の技ありを安定して積み上げられたわけです。
ルールを知ると、細かな脚さばきが得点の入口だと分かります。

2017年ルール改正で変わった点

2017年1月の改正で大きく変わったのは、技ありの基準が15秒から10秒へ短くなったことです。
それまで10秒で付いていた有効は廃止され、寝技の途中経過がそのまま細かい評価に繋がる整理になりました。
攻めの柔道を後押しし、一本へ向かう動きを見えやすくする狙いがあり、抑え込みを作れた選手ほど得点を早く積み上げられる構造になったと言えるでしょう。

この改正の意味は、単に点が入りやすくなったことだけではありません。
試合の中で寝技に入った瞬間、選手は「あと何秒で技ありか」「どこで一本まで持っていくか」をより明確に意識するようになります。
だからこそ、抑え込みに入る前の作りと、入った後の固定力が以前より重く扱われるのです。

項目改正前2017年1月改正後
技ありの抑え込み時間15秒10秒
10秒の評価有効廃止
一本の抑え込み時間20秒20秒

抑え込み『あり』『解けた』の判定条件

抑え込みが「あり」と認められるには、相手を概ね仰向けに制し、袈裟固や四方固系で胸を制圧し、自分の脚を相手に絡まれていないことが条件です。
立技のように投げきる必要はなく、この体勢を作れれば計時に入ります。
つまり抑え込みは、形の名前だけで成立するのではなく、相手の背中側をどれだけ支配しているか、そして下半身を自由にされていないかで決まる技なのです。

ただし、相手に脚を絡まれる、あるいは反転してうつ伏せになると「解けた」と判定され、計時は止まります。
初心者の乱取りを見ていると、抑え込みコールの後に焦って力むほど重心が浮き、短い時間でほどけやすい場面が多いものです。
逆に、落ち着いて胸で乗り続けられる選手は20秒を取り切りやすい。
ここに、前章の抑込技が「脚を絡ませない位置取り」を重視する理由があります。

禁止技と安全|年齢別制限と稽古の注意点

柔道の禁止技と安全の線引きは、技の種類と年齢区分を切り離さずに覚えるとです。
中学生以下は絞技・関節技が原則禁止で、三角絞を使えば反則負けになるため、早い段階で試すほど危険とルール違反が重なります。
関節技は高校生年代以上から使えますが、足緘と胴絞は全区分で禁止です。
道場ではこの境目を最初に共有しておくことが、迷いなく安全を守る近道でしょう。

年齢・区分で禁止される技

年齢制限は「強い技を我慢させるため」ではなく、体格差と頸部・関節への負荷を踏まえた安全設計です。
中学生以下では絞技と関節技が原則使えず、特に三角絞は中学生以下が用いると反則負けになります。
関節技は高校生年代以上から解禁されますが、足緘と胴絞は全区分で禁止されているため、同じ寝技でも何が許され、何が止められているかを技名と結びつけて覚える必要があります。
保護者から「子どもに絞技を習わせて大丈夫か」と聞かれる場面は多いものの、まず抑込技と受け身から入ると伝えると安心されます。
ルールは窮屈な制限ではなく、段階的に学ばせるための骨組みだと考えると理解しやすいです。

技・区分中学生以下高校生年代以上全区分
絞技原則禁止使用可年齢制限あり
関節技原則禁止使用可年齢制限あり
三角絞使うと反則負け使用可ルール順守が前提
足緘禁止禁止禁止
胴絞禁止禁止禁止

絞技で『落ちた』ときの正しい対処

絞技で相手が「落ちた」ときに最初にやるべきことは、絞めを直ちに解除することです。
頸動脈への圧迫が外れれば脳への血流はすぐ再開し、通常は短時間で覚醒しますが、そこで稽古を続けるのは避けます。
声をかけ、肩や頬に軽く触れて反応を見ながら、呼吸と意識が戻っているかを確認し、その日の寝技は中断して安静に移るのが原則です。
ある道場では、稽古前に「落ちたら即離す、その日はもう寝技をやらない」と全員で唱和していました。
こうした言語化された約束が、緊張した場面での迷いを消します。

初心者の習得順と逃げ方の基本

初心者は抑込技から始め、抑え込む感覚と逃げ方を並行して覚えるのが自然です。
先に土台となる抑込技を身につけると、相手の重さがどこに乗っているか、どこに空間があれば抜けられるかが見えてきます。
逃げ方はエビで横に体を入れ替え、ブリッジで隙間を作り、うつ伏せに転じる流れが基本で、ここが身につくと絞技や関節技に進んだあとも受ける側の感覚が安定します。
固め技では「極める技術」だけでなく「止める・受ける技術」も同じくらい重く、タップは早めに、掛ける側はタップが出た瞬間に外す。
相互に信頼して止まれる道場ほど、骨折や失神の事故は起きにくいものです。

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岸本 武彦

剣道四段・居合道三段。武道専門誌の編集部に8年在籍し、全国100以上の道場を取材。武道具の素材・構造分析と技術解説を得意とします。

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